目次
現在完了形とは?
「現在完了形」は中学校で習いますね。
「 have + 過去分詞 」という形になると説明されました。
そして現在完了形の意味は、
- 経験
- 継続
- 完了
- 結果
この四つがあります。
たしかに日本語訳だとこれで大丈夫なのですが、果たしてネイティブスピーカーの頭のなかには、この四つの意味があるのでしょうか?
結論から言うと違います!
では現在完了形とはいったい何を表現するための文法なのでしょうか。
現在完了形のイメージとは?
簡単に現在完了形を説明すると、昔起きたことを表現する文法です。
過去に起こっているのですから、過去形で言ってしまってもいいはずですが、
では過去形との違いはなんでしょうか?
過去形と現在完了形の違い
「過去形」と「現在完了形」の違いはたった1つで、
過去形を使うときは、ただ単に「~だった」といいきって、
気持ちとしてはその出来事から離れてしまっています。
一方、現在完了形では既に起こってしまった過去のことですが、
その過去のことが今の現実にまだ引きずられて残っている、というイメージを伝ることができます。
つまり話し手の「気持ち」が問題なのです。
例文を見てみます。
A. I ate breakfast.
B. I have eaten breakfast.
この二つの英文はどちらも、「朝食を取った」という意味になります。
過去形 ”ate” を使った文章は、単純に朝食を取ったことを言っているだけなのに対して、
現在完了形 “ have eaten ” を使った文章は、朝食を取ったという過去のことが、
まだ自分にとっては終わっていない影響を与えているという気持ちが伝えられていることです。
過去形で言ったAの人にとって、朝食を取ったのは過去のことですが、
現在完了形で言ったBの人にとっては、まだ朝食を取ったことは終わっていない現在のことなのです。
おそらくBの人は朝食を取ったことについて
何かをまだ気持ちとして持っています。
それは朝食が美味しくて気分が良いのか、
朝食を取ったレストランが気持ち良くて紹介したいのか、、、
なにかしら気持ちが残ってるのです。
Bの人にとっては朝食を取った過去はまだ自分の中に残っているのです。
過去形と現在完了形の違いを図でかくと、こんな感じです。
★ が「朝食を取った」という過去の出来事です。
過去形の文では朝食を取った、という気持ちが現在ではありません。
一方で現在完了形では、気持ちが現在まで続いています。
haveに意味はあるの?
現在完了形で使われる ”have” は「~を持っている」という意味の動詞ではなく、
次の動詞に別の意味を与える助動詞です。
この助動詞のhaveは状況そのものを保有している、またはその状況に影響を与えている、というイメージで使われています。
流れに沿って説明すると、
B. I have eaten breakfast.
B’. I have breakfast (which is) eaten. → I have eaten breakfast.
というように語順を入れ替えたのが、現在完了形なのです。
例文のようにhaveを「状況を保有している」、
という風に考えて、
Bの文章を直訳すると「私は食べた朝食を持っている」という意味になりますね。
ここで日本語の言葉の意味を広げて、
「持っている」
↓
「自分が作用することのできる場にある」
↓
「自分の世界の中にある」
と考えましょう。
そうすると、朝食を取ったという過去の出来事から現在まで、繋がったイメージになりますね。
このように現在完了形「have+過去分詞」は
過去に起こったことが現在にまで影響を与えてる、
ということを話したいときに使えるのです!
ちなみに余談ですが、
現在完了形(have + 過去分詞)は英語でpresent perfectといいます。
現在完了形の4つの意味
では、さっそく現在完了形の4つの意味
- 経験
- 継続
- 完了
- 結果
これらを一つ一つくわしく見ていきましょう。
経験
文法的に説明すると「経験的現在完了」と言われてます。
過去に何かをしたという「体験、経験」を強調します。
日本語訳は「~したことがある」となります。
C1. I have visited England.
C2. I visited England.
C1.「イングランドへ行ったことがあります」
C2.「イングランドへ行きました」
この二つの文章は
C1は現在完了形、C2が過去形ですね。
C2(過去形)はイングランドへ行った、という過去を伝えるのに対して、
C1(現在完了形)はイングランドへ行き、そのことが今の自分に何らかの影響を与えている、という気持ちを含んでいます。
意味の違いを強調するために例文を足します。
C3. I have visited England three times.
C4. I visited England in 2005.
C3.「いままでに3回イングランドへ行ったことがあります」
C4.「2005年にイングランドへ行きました」
C3が現在完了形、C4が過去形です。
C3(現在完了形)は、3回イングランドへ行ったことがあり、しかも本人の気持ちは現在まで続いてます。
その気持ちが何か分かりませんが、まだ気持ちが残ってます。
一方でC4(過去形)は、
「昔行った。はい終わり!」
気持ちとしてはもう過去のことです。
もし過去に3回行ってたとしても、
気持ちがもう終わりという過去のことであれば、
C5. I visited England three times.
C5.「3回イングランドへ行きました」
という過去形を使います。
回数を伝えるときに、必ず現在完了形になるわけじゃないのです!
過去形と現在完了形の意味の違いは難しいので、
「気持ち」の違いとして感じ取ってください。
ダメな例として
1度限りの特定の過去に、現在完了形は使えません。
C6. I have visited Russia in 2005.
このように1度だけの過去には現在完了形は使えないのです。
継続
文法的に説明すると「継続的現在完了」と言われてます。
日本語訳は「ずっと~している」「~し続けている」となります。
D1. She has been sick.
D2. She was sick.
D2(過去形)は、
「彼女が病気だった。はい終わり!」ということを伝えてます。
一方D1(現在完了形)は、
「過去から現在までずっと彼女は病気で、今でも病気、、、」ということを伝えてます。
「継続」の現在完了では、「状態や作業」を表す動詞がよく使われます。
D3. I have worked in this company for 3 years.
D4. He has lived in the city since he was a child.
D3.「この会社で三年働いています」→「この会社で働いて三年になります」
D4.「彼はその町に子供のころからずっと住んでいます」
D3の働き始めたのも、
D4の住み始めたのも過去のことですが、
その状態が現在までずっと続いています。
話し手の気持ちは、「今」も引き続き起こっているのです。
そして期間を表す語句と一緒に使われることが多くなります。
「いつから」または「何年間」といった言葉が入っている場合は継続用法と考えていいでしょう。
完了
文法的に説明すると「完了的現在完了」と言われてます。
何かが現在に非常に近い過去に終わった、ということを指します。
通常は ” just ”と一緒に使われ、
以前から継続して行われてきたことが、ちょうど終わったという気持ちをこめて使われます。
日本語訳は「ちょうど~したところだ」となります。
E1. I have just finished my homework.
E2. I finished my homework.
E1.「宿題が終わったところです」
→「ちょうど今宿題が終わったところです」
E2.「宿題は終わりました」
E2(過去形)の ”finished” は、過去であることを単純に伝えています。
一方、E1(現在完了形)の “have finished” は、ずっと宿題をやり続けていたという気持ちが含まれています。
そして” just ” を使うことで「たったいま」宿題が終わったという気持ちを強調しています。
同様に
E3. I have just eaten breakfast.
E3.「たったいま朝食を取りました」→「ちょうど朝食が終わったところです」
E4. I have just seen her.
E4.「たったいま彼女を見ました」→「ちょうど彼女に会ったところです」
2つの例文は、ともに現在完了形で、
話し手のフォーカスは「今」にあります。
E3(現在完了形)は、朝食を取り終わったので、もう朝食を取る必要はない。
もうお腹はふくれている、もう次の作業にかかれる、という今の状態を語っています。
E4(現在完了形)も、彼女をついさっき見かけたので、今ここには彼女はいない。
どこか近くにいるはずだという現在の状態を語っています。
ここでE3 とE4のどちらの英文にも
「終わった」という意味の単語は含まれていないことに注意してください。
日本語訳の「終わった」「いなくなった」という意味は
ネイティブが現在完了形を話すときのイメージです。
ここでE3を前のBの文章と比べてみます。
B. I have eaten breakfast.
E3. I have just eaten breakfast
どちらも現在完了形なので、
「朝食を取った」という意味です。
しかしE3には、つい先ほどまで朝食を取っていた、という意識が含まれています。
図に書くとこんな感じです。
結果
文法的に説明すると「結果的現在完了」と言われてます。
過去に起こってしまった何かが現在に与えている”変化”を伝えます。
日本語訳は「~してしまった」となります。
F1. She has gone to America.
F2. She went to America.
F2(過去形)では、彼女が過去にアメリカへ行ったという事実を伝えています。
今、彼女がどこにいるのかについては何も伝えていません。
F1(現在完了形)は、彼女がアメリカへ行ってしまって、「今、ここにはいない」ということを伝えています。
” go ” に「いない」という意味はないのですが、
ネイティブのイメージでは「今、ここにはいない」のです。
一方、同じ現在完了形の文章でも、”just”を使った「完了的現在完了」になると、
F3.She has just gone to America.
これは完了用法になり「彼女はたった今アメリカへ行った」という表現になります。
「今、旅立った」わけです。
ちょっと難しかったかもしれませんが
結局どちらの場合も、話し手の気持ちは「彼女が行ってしまった後の現在」です。
そこだけ押さえておけばOKです!
「結果」を表現する現在完了形をもうちょっと練習しましょう。
F4. Spring has come.
F5. I have lost a key.
F4.「春が来ました」→「春になりました」
F5.「鍵をなくしてしまいました」
春が来たのも、鍵をなくしたのも、過去のことです。
その結果として「今は春である」こと、「自分は鍵を持っていない」ことが上の文の意味するところです。
現在完了形の使い方
現在完了形を使うときは、現在と過去の関係を伝えたいときです。
そして気持ちは「過去の出来事」がまだ残ってます。
時間の経過を表す Signal Words
現在完了形には、時間経過を表す単語を入れて使うことがあります。
このような時間経過の語句を”signal words”と言い、
signal words によって、現在完了形の使い方が変わります。
代表的なsignal words は次のものがあります。
just
yet
never
already
ever
so far
up to now
recently
since
for
このsignal wordsを使うことで、時間経過を表現できます。
過去の期間について
過去の期間を表現するsignal wordsを使えば、
その現在完了形の使い方は、過去から今まで継続して起こっていること、になります。
このようなsignal wordsには
for a week
for five years
since you were a child
期間を示していますが、その期間は「今」で終わります。
このような時間経過での意味は、
なにかをずっと続けてきた、となるでしょう。
G1. I have stayed here for a week.
G2. He has used this car for five years.
G3. Have you known her since you were a child?
for , since の時間の流れを図で書くとこのようになります。
” for ”の場合、5年なら5年という期間
”since “の場合、「いつから」という始まりがある期間です。
赤い矢印は、気持ちを示しており、
過去の、どの期間なのかを示してます。
気持ちは期間の長さ、または始まったときに向いています(上の青い半円の矢印)。
そして、その間ずっと起こってきたことが今まで続いています(上の青い破線の矢印)。
このとき、現在完了形が伝えているのは、
過去が継続した「今」です。
もう一度、過去形と現在完了形の違いを模式図にしてみます。
この二つの図にはそれぞれの文章を構成する単語を入れてあります。
現在の自分からみて、stayしたのは過去(★)です。
過去形は、過去の時間を振り返って、過去のある時点のことを語ります。
一方、現在完了形は、過去のある時点から今へのつながりを全て含めて伝えます。
つまり現在完了形というのは、過去の時間と現在の関係を表現してるのです。
今を含む期間について
同じ現在完了形ですが、
signal wordsの時間が「今で終わらない」場合があります。
過去から今を含み、未来まで続く期間となる場合です。例えば
this week
this summer
today
といった時間については、
今週、今年の夏、今日という期間は「今」の瞬間を含んでいます。
こういったsignal wordsを現在完了形に使えば、
その動詞の作用は「今」の瞬間では終わらずに、今週や今日が終わるまで続くことになります。
H1. I have been busy this week.
H2. It has rained a lot this summer.
H3. A fish has not been caught today.
H1 「今週は忙しい」
H2 「今年の夏は雨がよく降る」
H3 「今日は魚が一匹も釣れていない」
今週、夏、今日はまだ終わっていませんが、今の時点ではこうである、といっています。
ここでいう未来への期間を「今」で切ると状況が変わることを予測または期待する、という言い方になります。
H1. I have been busy this week, up to now.
H2. It has rained a lot this summer so far.
H3. A fish has not been caught today, yet.
模式図で書くと
となっています。
何度も繰り返し起きてる
現在完了形の使い方で、
いままでにその出来事が繰り返し起こったということが言いたい場合です。
それがいつ起こったのかは問題にされません。
頻度を表すsignal wordsと一緒に使われます。
I1. She has seen that film three times.
I2. I have visited the park frequently.
I3. We have found many major problems while working on this project.
いつ起こったのかが重要であれば、過去形で言うことになります。
過去形の場合は、過去のある時期に起こった、ということを伝えるだけです。
一方、現在完了形では、過去形とは違い、いつ起こったのかは重要ではありません。
過去から時間が流れ、何度か起きた出来事がつながった一連のものとして意識されます。
過去から現在にかけてその出来事が何度か起こっているということが重要です。
悪い例 C6. I have visited Russia in 2005.
正しい例 C6’. I visited Russia in 2005
繰り返しますが、完了形の場合は過去の特定の出来事がいつ起こったのか、ということは言うことができません。
今まさに終わる
現在完了形の使い方で、
その出来事が今まさに終わった、ということを伝える場合です。
このケースは現在完了形の意味の「完了」と同じイメージで使われます。
「今、まさに」というニュアンスを表現するためにsignal wordsとして” just ”を使うことが普通です。
J1. I have just seen her.
「ついさっき彼女を見た」
→もうちょっと早く来れば間に合ったのに、という気持ちがいまもある
J2. Has he just left?
J3. They have just sold the last piece.
という気持ちが現在完了形によって表されています。
いつ起こったのか分からない過去
過去のいつだかは特定せずに、ある出来事が起こったことで現在の状態に影響を与えている、という使い方です。
過去から現在まで気持ちが続いてますが、いつ起きたのかは分からない場合ですね。
日本語にはこのような「いつ起きたか分からない過去」を振り返る時間表現がありませんが、
むしろ現在完了形は単純な使い方になります。
K1. Someone has eaten my cake.
K2. Have you read “The Old Man and the Sea”?
K3. She has not found the time to do that.
日本語にない表現なので、日本語に翻訳しにくい現在完了形ですが、
「過去に起こったことが、今も問題となってる」という視点はそのままです。
図に書けば
となります。
現在完了形、過去完了形、未来完了形の違いとは?
一見難しそうな過去完了形、未来完了形ですが、
とても簡単です!
ここまでに話してきた現在完了形の「”今も”気持ちがある」という
”今”が過去や未来に変わるだけです。
図に書いた「矢印の先っぽ」が過去・未来に動くイメージになります。
過去完了形は、過去にもう終わってしまったことについて現在から振り返って話します。
一方、未来完了形は、将来において既に終わっているであろう出来事について、現在の立場から話します。
それぞれ図を使ってわかりやすく解説しますね!
過去完了形とは?
過去完了形は、過去にもう終わってしまったことについて現在から振り返って話す、という用法です。
完了形の動詞はその過去の中でさらに「過去」に起こったこと、になるので、
専門用語を使うと、過去完了形を大過去形とか、二重過去形ということがあります。
図にすると、出来事は過去に始まって過去に終わっています。
英語表現の使い方として時間の流れを見てみましょう。
I stayed here for a week. 過去形
I have stayed here for a week. 現在完了形
I had stayed here for a week. 過去完了形
となり、最後の過去完了形では時間の流れが
となって、その場所に泊まっていた一週間は既に過ぎた昔のこと、になっています。
例文を見てみます。
L1. He had established his company before he turned 20.
L2. The bus had just left when we got the stop.
L3. She had lived in Tokyo before he moved to Los Angeles.
L1 彼は20歳になる前に自分の会社を設立した。(彼が20歳だったのは過去のこと)
L2 ちょうど私たちがバス停に着いたときに、バスは出てしまった。(バス停に着いたのは過去のこと)
L3 ロサンゼルスに引っ越す以前、彼は東京に住んでいた。(彼がロサンゼルスに引っ越したのは過去のこと)
現在の自分が、過去を振り返って、
その過去からさらに前に起こったこと
を伝えるときが過去完了形ということです。
未来完了形とは?
未来完了形とは、
将来、すでに終わっている出来事について、現在の立場から話すという文法です。
図に書くと
このようになります。
それぞれの文法の、形を見てみましょう。
I stayed here for a week. 過去形
I have stayed here for a week. 現在完了形
I had stayed here for a week. 過去完了形
I will have stayed here for a week. 未来完了形
最後の未来完了では
こんな風になっています。
過去完了の場合もそうですが、
ある期間の出来事を一括りにしてそういうことが起こっている「状況」をいうために動詞が「過去分詞」で形容詞化されています。
そのような状況を自分が、いわば別の立場から、
認識している(=持っている)という意味を” have “で表す、
と考えると未来完了形がかんたんに分かりますね!
未来完了形の例文を見てみます。
M1. He will have completed the project by July.
M2. She will have appointed to the position.
M3. The world will have completely changed in 10 years.
簡単に言えば、
話し手の意識が、未来にあるとき、が未来完了形ということです。
まとめ
今回は現在完了形の文法について、最初は日本語の意味に置き換えて理解するという方法で説明し、その後で英語の時制の感覚として書いてきました。
英語を使う上での感覚としては、現在から見て過去のいつだかに起こったことを、現在の話題に引き込んで使うための言葉の使い方です。
それが起こったという過去の事実から現在までの時間を「一つながりの出来事」として取り出している感覚、といえばよいでしょうか。
最後に
最後に「ビッグバン★セオリー」で英文法を遊ぶジョークに触れますね。
SFが好きな方には聞きなれたタイムパラドックスの話なので、とても面白く読めるかと思います!
ぜひhaveを5つ使った完了形に触れてみてください。
リンク先の記事のように
英語では「完了形の組み合わせ」という仮想の文法を作ることもできます。
だけど、難しいことな一切なく、この記事で紹介した四つの用法のどれかで必ず説明できるはずです!
実際に、ネイティブ相手でも
過去の出来事と今を結び付けて、現在完了形を積極的に使ってみてください!