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うさぎって小さくて、フワフワして可愛いですよね。
ペットとしてもとても人気です。
わが家の子どもたちから、
うさぎを飼いたいとせがまれたことがあります。
日本語の「うさぎ」は、
主にうさぎの全般を指すことばとして使われますが、
英語では、”Rabbit” または ”Hare”と区別されています。
どうして区別されているかというとことや、
また、使われ方の意味を知ると、とても興味深いです。
では、今回はRabbitとHareの違いについて紹介します。
うさぎはRabbit と訳す? Hareと訳す?
“Rabbit” は「うさぎ」と訳しますが、
厳密には「穴うさぎ」を指します。
そして”Hare” は日本語では “Rabbit” と
同じく「うさぎ」でOKですが、
厳密には「野うさぎ」を指しています。
ぱっと見てわかるほど、実は、
穴ウサギと野うさぎは見かけも違い、また生態も違います。
下の表に違いをまとめてみました。
Rabbit うさぎ |
Hare 野うさぎ |
Run slower than hare (野うさぎより遅く走る) |
Run very fast and quick (とても早く走りすばやい) |
Born hairless and blind (生まれた時、毛がなく目もみえない) |
Born with fur and sight (毛が生えて生まれてくる、目がみえる) |
Small in size |
Larger than rabbits, longer hind legs and longer ears with black markings (ウサギより大きく、後ろ足は長く、耳が長く黒い部分がある) |
Prefer to eat softer grasses and vegetables like carrot (柔らかめの草を好み、にんじんなども食べる) |
Like to eat harder bark and twigs (硬い木の皮や小枝を好んで食べる) |
Fur stays the same color year-round (年中毛色は変化しない) |
Fur changes color from brown or gray in the summer, to white in the winter (毛色は変化し、夏は茶色や灰色、冬は白色になる) |
Make their homes in burrows underground (巣は地下に向かってに穴を掘る) |
Make nests above ground (巣は地上に作る) |
Social and live in colonies (社交的で群を作って生きる) |
Not social and live by themselves all alone (社交的ではなく、単独で生きる) |
ペットとして飼われているのが、”Rabbit”。
なぜなら、集団を好んで、
走るのも遅く、人間が扱いやすいからです。
野うさぎは、その瞬発力は高く、
走るスピードは何とウサイン・ボルトよりも速く、
あまりの速さにあやまって
壁にぶつかると死んでしまうほどだそうです。
こちらの動画に違いがまとめてあるので参考までに。
ちなみに、”Bunny” は “Rabbit” と同じ意味で、
幼い子どもに向けて話す時の言い方です。
「Bunny = うさちゃん」という感じです。
うさぎと言えば?有名なうさぎのキャラクターとは?
うさぎの有名なキャラクターといえば、
何を思い浮かべますか?
「不思議な国のアリス」に出てくる
白いうさぎではないでしょうか。
物語の冒頭で、
“Oh dear! Oh dear! I shall be late!”(大変だ!大変だ!遅れちゃう!)
と言いながら、懐中時計片手に登場するのが、
”a White rabbit”=白うさぎです。
こちらは”Rabbit” なので、穴うさぎです。
不思議な国のアリスにもう一匹うさぎが登場します。
マッドハッターとお茶会のシーンに
出てくる”a March Hare” =3月ウサギです。
アリスにテーブルにありもしない
ワインをすすめたり、支離滅裂な行動をしたりするのが、
この”a March Hare”です。
そう、こちらは、”Hare” で野うさぎです。
3月うさぎというのは、野うさぎが
発情期に狂ったように
発情することが由来となっているようです。
イソップ寓話で有名な「うさぎとかめ」は、
“The hare and tortoise” です。
登場するうさぎは”Hare” です。
野うさぎの足が速いという特徴が当てはまりますね。
ちなみに”Tortoise”は亀でもリクガメを表します。
直訳で訳すとするなら、
「野うさぎとリクガメ」
ということになりますね。
初めに翻訳した人がうさぎの違いを
知っていたかどいうかは不明ですが、
私がもし翻訳するとしても
「うさぎとかめ」のシンプルな方の
題名を選ぶかなぁと思います。
「野うさぎとリクガメ」のタイトルでは、
なんだか興味がそそられませんよね。
一方、アメリカのカートゥーンとして
有名なバックスバニー”The Bugs Bunny”。
一見、耳は長く、足も長いし、走るのも
早いので、Hareかと思われがちですが、
にんじんが大好きですし、
”Bunny”は”Rabbit”と同じ意味と先ほど触れましたね。
では、バックスバニーは、
Rabbitなのか、Hareなのか、どちらでしょうか?
英語で“Is the bugs bunny a rabbit or hare?” と
検索すると、実にたくさんのサイトが見つかります。
海外のQ&Aサイトにもたくさん同じ質問があります。
残念ながら、いったいどちらなのか、
はっきりとした区別はつけていないようです。
結論は、うさぎのアニメキャラクター
というところで位置づけているようですね。
うさぎに関係するスラング
“Rabbit” を使ったスラング表現
うさぎを使った英語の表現を紹介します。
かわいいイメージのうさぎですが、
意外とネガティブな意味を持つ表現が多いのが特徴です。
では早速 ”Rabbit” を使った表現を見てみましょう。
だらだらと興味のないことを話す
◆“rabbit on”
だらだらと興味のないことを話すこと
(彼女は大好きな俳優のことをだらだらと話し続けた。)
こちらはイギリス英語です。
アメリカ英語では、go on と同じ意味になります。
フォーマルではなく、ネガティブなイメージで、
聞き手はあまり興味がないことなのに、
話し手が永遠とだらだら話をするという意味を表します。
思いがけない解決策を生み出す
◆“pull a rabbit out of the (a) hat”
手品として、うさぎを帽子から取り出すという
そのままの意味と、
思いがけない解決策を生み出す、
という意味で使う表現です。
今回はどうやっても解決できそうにない。
また、手品に由来して、
帽子からうさぎを出す=成功する意味で
使われる場合もあります。
彼は素晴らしかった。それはまるで手品のようだった。
動詞のpull を”produce”や”bring”に
言い換えることができます。
こちらはポジティブな意味で使われます。
“Hare” を使ったスラング表現
では、”Hare” を使った表現はどうでしょうか?
この”Hare”は野うさぎの名詞だけではなく、
動詞の使い方もあります。
動詞の使い方
Cambridge Dictionaryによると
“to run or go very quickly, usually in an uncontrolled way”とあり、つまり、
「走る、速く走る、主にコントロールできないほど」
と野うさぎが早く走れることから
”動詞”としても使うようです。
こちらはイギリス英語で、
”Hare”の後ろに、”off” をつけて使います。
彼は通りを駆け抜けていった。
◆He was haring off down the street.
話をそらす
◆“start a hare”
話題を提供する、という
意味もありますが、
(話をそらすために)別の話題を持ち出すという
意味でも使われる表現です。
彼は部屋に入って来るやいなや、別の話をした。
◆He just started a hare as soon as he entered the room.
3月うさぎのように狂っている
“◆mad as a March Hare”
(彼は3月うさぎのように狂っていた。)
ネガティブな意味で使われ、
またフォーマルな言い方ではありません。
ここでポイントは、”mad” の意味について注目!
「mad = very angry:とても怒っている」の意味で使いますが、
”mad” はイギリス英語で
「狂っている、頭のおかしい」
という意味を表します。
アメリカでは「crazy」を使います。
ちょっと整理してみましょう。
例文: |
彼はとても怒っていた。 |
彼は3月うさぎのように狂っていた。 |
UK:イギリス |
He was mad at me. |
He was mad as a March Hare. |
US:アメリカ |
He was mad with me. |
He was crazy, as a March Hare. |
(※文法の違い:怒っている:
mad +at+ 人=イギリス英語、
mad+ with + 人 =アメリカ英語となります。)
先ほど「不思議な国のアリス」について
触れましたが、お茶会に登場する
マッドハッター”A Mad Hatter”は、
狂った帽子屋ということになりますね。
昔、フエルト帽子を作る時に
水銀を使用していたことから、
職人が水銀中毒になり、
その影響で精神病を患い狂ったような行動をとった、
と考えられていたことが由来しているといわれています。
(彼は頭がどうかしていた)
となります。
mad as a hatterは、
世界的に有名となった
「不思議な国のアリス」によって、
広くつかわれるようになったそうです。
ちなみに、不思議な国のアリスは、
作者がイギリス人のルイス・キャロルですので、
イギリス英語を学びたい方、
ぜひ原文の英語にチャレンジしてみてください。
まだまだHareについて紹介していこうと思います。
二兎追うものは一兎をも得ず。
◆He who runs after two hares will catch neither.
日本でよく使われることわざです。
こちらは”Hare”を使います。
野うさぎと一緒に逃げ、猟犬と一緒に狩りをする
◆Run with the hare and hunt with the houndsこれは、日本ではあまりなじみがない表現になりますね。
イギリス英語で使われますが、
逃げる側と追う側の両方をサポートするという意味で、
両方の意見に賛成して、
両方の平和を保ちたいという姿勢の意思を表します。
しかしよく使われる意味では、その姿勢が不可能、
さらには両方の意見に賛成するのは
偽善者だという意味で使われます。
(あなたは両方の意見に賛成することはできない。)
ここまでイギリスのお話が続きましたが、
では、私たち日本人になじみのある十二支ではどうでしょうか。
十二支のうさぎは英語で何?
十二支は英語にすると”Chinese zodiac”
または、”Japanese zodiac”と呼ばれます。
“zodiac” が “astrology” と
訳されている場合もあります。
兔年は、
”the year of rabbit”
と表記されていたり、
”the year of rabbit/hare”とどちらも表記されていたりします。
英語版のWikipedia では、”rabbit” でした。
日本語→英語へ翻訳される際に、
うさぎの種類が特定されていなかったため
英語で兔年は、Rabbi、Hareの
どちらを使っても意味が通るということだと考えられますが、
厳密には調べてもわかりませんでした。
ちなみに、未年も “the year of goat/sheep”、
蛇年も”the year of snake/serpent”となっているので、
どちらでも良いということかもしれませんね。
まとめ
今回は、うさぎの英語について紹介しました。
日本語では、うさぎはあまり区別せずに
使いますが、英語では明確に
”Rabbit”と”Hare”を使い分けていることがわかりましたね。
特にイギリスは、狩りをすることから、
”Hare”を使うことばが多いと感じました。
イギリス英語とアメリカ英語の違いについても、
うさぎを通して学ぶことができましたね。
今回のように、アクセントだけではなく、
使う単語によっても
その人の出身地がわかるということが
発見できたのではないでしょうか。
世界共通語である英語ですが、
使われる国や歴史が違うと、
ことばに大きく影響しますので、
その違いを学ぶことも楽しいですね。